金曜日、元ラッパーとして知られるバレンダ・シャー氏(通称・バレン)はネパールの首相に就任し、同国政治史に新たなページを刻んだ。35歳のシャー氏は3月の総選挙で圧勝し、根強く存在していた政治エリートを打ち勝ち、国家の統治構造を変えていった。BBCによると、彼の台頭は、腐敗や血縁主義、エリート支配への不満を抱える世代の声を反映している。
ラップから政治へ
シャー氏は地下ラッパーとしての活動を通じて、ネパールの社会・政治問題を批判し続けてきた。彼の楽曲『Undivided Nepali』はリリース後数時間で200万回以上再生され、変革への約束を示した。就任式の前にも演奏されたこの曲は、変革を求める国民の願いと重なった。
シャー氏の音楽と政治への道は、2013年にネパールで行われた人気ラップバトルで優勝したことがきっかけで始まった。彼の鋭い歌詞は、社会的排除感を抱える若者世代の怒りを反映していた。彼の楽曲は腐敗、社会的不平等、一般市民の苦悩といったテーマを扱い、特に『Balidan』(「犠牲」)という楽曲は政府職員と労働階級の格差を批判し、YouTubeで数百万回視聴された。
国家政治に進出する前、シャー氏は2022年からカトマンドゥ市長を務め、独立候補として圧勝した。その任期中は首都の清掃、先住民文化の保護、腐敗の撲滅に取り組んだ。しかし、違法建築の解体による交通の改善という施策は、無許可住宅地の住民や露店の業者から批判を浴びた。
新たな政治時代
シャー氏の政治的台頭は、2024年9月に起きた全国的な抗議活動と密接に関係している。この抗議活動では77人が死亡し、その多くは警察の銃撃によって命を落とした。抗議のきっかけはSNSの利用制限だったが、その背景には腐敗、失業、経済停滞への深い不満があった。
抗議活動ではシャー氏の楽曲『Nepal Haseko』(「笑顔のネパール」)がアンチムを務め、その歌詞は街頭だけでなく家庭にも広がった。歌詞の「ネパールが笑顔になることを望み、ネパリストの心が踊るのを望む」という言葉は、再興を求める国民の希望を象徴している。
今年の首相選挙のキャンペーンでは、シャー氏はメディアに登場することを控え、SNSを通じて直接選民と対話するという非伝統的なアプローチを取った。彼は広範な反腐敗対策、司法制度改革、120万人の新雇用創出といった約束を掲げた。
そのキャンペーンの成功は珍しく、シャー氏が所属するラストリヤ・スワタントラ・パティ(RSP)は2025年1月に結党し、3月5日の総選挙で圧勝し、長年続いてきた政治構造を打ち勝った。シャー氏は、長年その地盤を守っていた前首相KP・シャーマ・オリ氏を、ジハパ5選挙区で破った。
課題と物議
人気があるにもかかわらず、シャー氏の市長時代の実績は批判を浴びている。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、シャー氏がカトマンドゥの露店業者に対して警察を動員した行為を、強硬な対応と批判した。同団体は、シャー氏が首相として就任した今後、より規則に基づいた統治に注力することを望んでいる。
シャー氏は2024年11月、Facebookで複数の外国とネパールの政治勢力、RSPを含むいくつかの政党を名指しし、粗末な言葉で批判する投稿をした。投稿はすぐに削除されたが、この出来事は彼の判断力やRSP内部の対立を問うものとなった。
これらの物議を超えて、シャー氏とその政党は、変革を望む国民の高い期待に応えるという難題に直面している。課題には、中東で働く数百万のネパール人の戦争、ネパール国内の慢性的な失業、RSPの政府運営経験の欠如などがある。
さらに複雑な状況に、ネパールは木曜日、2025年の政変に関する調査結果を発表した。この調査では、前首相KP・シャーマ・オリ氏の起訴が推奨されたが、最終的な実施は新しく選出されたRSPに委ねられる。
シャー氏の政権は、こうした課題を乗り越える一方で、選挙で国民の支持を示した信頼を維持する必要がある。彼が改革と安定の約束を果たす能力は、首相としての任期の成功を左右する重要な要素となる。
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