ティラノサウルス・レックスの化石「ガス」が5010万ドルで落札され、史上最高額の恐竜化石となった。このオークションはニューヨークのサッソビアで行われ、電話での入札で決まった。事前予想価格は2000万ドルから3000万ドルだった。
ほぼ完全な科学的に重要な標本
ガスというティラノサウルス・レックスは全長38フィート、高さ12.5フィートで、頭骨の長さは54インチに達する。これはこれまでに発見されたティラノサウルス・レックスの標本の中でも最大級の一つである。化石の骨要素は183個あり、骨数で約61%、質量で75%から80%が復元されている。頭骨だけでも元の骨の約82%が含まれており、まれにしか見られない成分である胸骨や完全な骨盤、両足も含まれている。
ガスは2021年に南ダコタ州ハーディング郡の土地で発見された。この土地の所有者だったガリー・リッキング氏(通称ガス)は、化石の発掘が始まって1年後に亡くなった。ガスという名前は彼に敬意を表してつけられた。
私的所有と科学的懸念
古生物学者は一般に、化石が私的所有に移ると科学から失われるものと考えている。科学誌は、公開コレクションに保管されている標本に関する研究しか掲載しない。化石が私的に保管されている場合、研究の再現性が保証されず、科学的発見の確認に必要な重要な基準が欠如する。
ガスは2024年7月1日から14日にかけてニューヨークで展示され、オークションに先立って公開された。前回の化石オークションの記録は、2024年に億万長者のケン・グリフィン氏が4460万ドルで落札したステゴサウルス「アペックス」だった。この標本は現在、ニューヨークの自然史博物館で4年間の貸し出し中である。
世界的な関心とヨーロッパ初の試み
ガスは米国で落札されたが、ヨーロッパではティラノサウルス・レックス「トリンティ(TRX-293)」がチューリッヒでのオークションに向けて準備されていた。トリンティは2022年12月にスイスに到着し、9つの大きな木箱に入っていた。これはスイスに上陸した最初のティラノサウルス・レックスである。その組み立て方法から、「巨大なIKEAの家具」と形容された。
ヨーロッパではこれまでにティラノサウルス・レックスの標本が貸し出し展示されたことはあったが、オークションでの落札は初めてである。3月後半からトリンティはチューリッヒのトンハーレで3週間展示され、その後オークションにかけられる予定だった。これは世界で3番目のティラノサウルス・レックスのオークションとなる。
ティラノサウルス・レックスの化石は、モンタナ州、ワイオミング州、ダコタ州にまたがる有名な地質学的化石地「ヘル・クリーク・フォーメーション」で発見されることが多い。この地域では1902年に最初のティラノサウルス・レックスの化石が発見され、その名前はこの地域の化石に基づいてつけられた。
ティラノサウルス・レックスは約6700万年前の白亜紀後期に生息していた。この時期は気候が温暖で、海面が高く、豊かな沿岸平野が広がっていた。これらの条件により、トリケラトプスやエドモントサウルスなどの大型草食恐竜が繁栄し、ティラノサウルス・レックスのような頂点捕食者を支える生態系が形成された。
現在、ティラノサウルス・レックスは世界中で最も知られている恐竜の一つであり、1993年の映画『ジュラシック・パーク』の登場により広く認知された。映画の象徴的なシーンで、ティラノサウルスが囲いを抜け出し、観光バスを襲う場面は映画史に残る名場面となった。その巨大な頭骨、鋭い歯、強力な咬合力、そして優れた視力と嗅覚により、ティラノサウルス・レックスは頂点捕食者として君臨した。
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