カナダのマーク・カーニー首相率いる自由党が、今月1日に投開票される3つの補選で勝利すれば、議会多数派となる見込みだ。BBCによると、これにより自由党は政策の成立に野党の支持を必要としなくなる。

自由党、議会多数派にあと1議席

自由党は現在、343議席の議会で171議席を占めており、技術的な多数派にあと1議席が必要な状態だ。BBCによると、トロント近郊の2選挙区とモントリオール近郊の1選挙区の結果が、カーニー首相の権力を確立し、2029年までに総選挙を延期する可能性を生み出す。

補選は主要地域で行われる

自由党はトロントのスカーバーグ西南選挙区とユニバーシティ・ロゼダール選挙区の2選挙区の勝利が確実とされている。BBCによると、これらの議席はかつて防衛大臣を務めたビル・ブレア氏(現在は英国大使)と、ジャスティン・トルドー前副首相で現在はウクライナの顧問を務めるクリスティア・フリーランド氏が担当していた。

モントリオール近郊のテルボン選挙区では、自由党と魁北克・ブロック(地域主義政党)のどちらが勝つかは不透明だ。2023年4月の総選挙では自由党が1票差で勝利したが、2月にカナダ最高裁が郵便投票の事務処理ミスを理由に結果を無効にした。

離党議員が自由党を強化

トロントの補選で勝利すれば、カーニー首相は少数派の多数派を確立できる。BBCによると、すでに4人の元保守党議員と1人の新民主党議員が自由党に離党しており、議席数を補強している。

カナダでは議員の離党は珍しくないが、最近の離党率は「異常」に高いと、トロント大学のセマ・セヴィ教授は述べている。セヴィ氏はBBCに対して、「カーニー氏は幅広い陣営を築き、通常は自由党とは関係ない議員も引き入れている」と語った。

しかし、セヴィ氏は「問題は、この陣営が大きすぎて、思想的な統一性が欠如している点にある」と指摘している。

最近離党したマリリン・グレドゥ議員は、かつては社会的に保守的な立場を取っていたが、現在は「個人的には反中絶を支持しているが、中絶へのアクセスは支持している」と述べている。BBCによると、グレドゥ氏は中絶に関する問題では自由党と同調し、カーニー氏は「党の価値観は変わっていない」と語っている。

世論調査では、自由党は保守党(公式野党)を10〜15ポイント上回っている。カーニー氏自身はカナダ国民から強い支持を得ており、トルドー氏の時代に比べて自由党はより政治的に保守的になっている。

カーニー氏は、トルドー氏の時代に導入された消費者向け炭素税などの政策を廃止し、カナダを「エネルギー大国」にしようとし、公共部門の雇用を減らす方針を掲げている。

この離党の波は保守党を怒らせ、自由党は「裏で取引」を行っていると非難している。保守党のピエール・ポリエーヴレ党首は、議員の離党を「民主主義に反する」と批判し、カーニー氏が他の政党から議員を引き抜いていることで、「選挙で当選した議員の票は無意味だ」と述べている。

一方で、ポリエーヴレ氏の下で保守党議員が不満を抱いているという声も上がっている。昨年1月に次期首相の有力候補だったポリエーヴレ氏は、トルドー政権下で米国との関係が悪化したという懸念が高まったことで、カーニー氏が支持率を伸ばし、次期首相に躍り出た。

セヴィ氏は、ポリエーヴレ氏のリーダーシップスタイルや、保守党がいつか政権を取る可能性が遠のいている点に不満があると述べている。

最近のカナダメディアによると、他の少数の議員も自由党から誘われている。先週末、自由党がモントリオールで党大会を開いた際、カーニー氏は国が直面する数々の危機の中で「統一」の重要性を訴えるスピーチを行った。

「カナダの建国の知恵は、統一が均一を必要としないということだ」とカーニー氏は語った。