マサチューセッツ州出身の民主党議員セス・モルトン氏は、CNNの番組『ニューセンタル』で、移民・入国管理庁(ICE)の廃止を求める発言をした。モルトン氏は、ICEが国境を安全に保つどころか、特にトランプ前大統領が攻撃対象にした「ブルー・シティ(民主党支持層が多い都市)」を含め、都市を危険にしていると指摘した。

ICEの役割とモルトン氏の批判

モルトン氏の発言は、司会者のジョン・バーマン氏が、2016年大統領選でバラク・オバマ氏の選挙運動責任者を務めたジム・メッジナ氏の警告を紹介した直後に発表された。メッジナ氏は、「ICEの廃止」という言葉を使うべきではないとし、人々は移民法の執行と責任の所在を求めており、国境の安全を守るための連邦機関を廃止すべきではないと主張した。

インタビューの中で、バーマン氏はメッジナ氏がケイト・バルドウィン氏とのインタビューで述べた発言を再生した。メッジナ氏は、「人々はICEに対して責任を問うことを望んでいる。移民法の執行を賢く行うことを求めており、国境の安全を守るための連邦機関を廃止することを望んでいるわけではない」と語った。

モルトン氏は、ICEが国を安全にしているわけではないし、むしろ都市を危険にしていると反論した。彼は、ICEの活動と関連する暴力事件を挙げ、特にトランプ政権の政策が攻撃対象とされた都市でその影響が顕著であると指摘した。また、一部のICE職員は「自らの組織に恥じている」と述べており、その方向性に懸念を示していると述べた。

歴史的背景と改革案

モルトン氏は、ICEは9・11テロ後の元大統領ジョージ・W・ブッシュ氏によって設立されたと述べた。彼は、ICEを司法省に移管し、国土安全保障省から外すべきだと主張し、現在のICEの状況は「災害」であると語った。彼は、ミネアポリスでICEの活動の影響を実際に目撃したと述べた。

モルトン氏の発言は、ICEの役割と効果に関する議論が長年続く中、政治的議論の焦点となっている。ICEは移民法の執行、不法入国者の送還、詐欺や密輸の調査を担当している。批評家は、ICEの執行政策が、アシュリム申請者や子どもなど、脆弱な人々の拘束・送還をもたらしていると指摘している。

2022年の政府会計局(GAO)の報告書によると、ICEは運用管理に多くの課題を抱えており、人手不足や移民案件の効率的な処理が困難であるとされている。報告書では、一部の施設ではICEの拘置所のベッドの70%以上が空いていることが指摘され、機関の効率性や資源配分への懸念が示された。

移民政策への影響

モルトン氏によるICEの廃止に関する発言は、米国の移民政策に大きな影響を与える可能性がある。もし実現すれば、移民の執行体制を完全に見直す必要があり、ICEの責任を他の連邦機関に移管する必要がある。この提案は、ICEのような中央集権的な機関が不在となった場合、移民の執行がどのように行われるかという疑問を引き起こす。

分析家たちは、ICEの廃止という考えは新鮮ではないと指摘している。過去の政権下でも同様の議論が行われてきたが、具体的な行動には至っていない。2020年、トランプ前大統領はICEの執行を強化しようとした一方、オバマ前大統領はICEの運用を改革し、移民の待遇を改善することに注力した。

ピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国民の52%は、ICEが国家安全保障よりも移民法の執行に重点を置いていると感じている。また、63%の応答者らは、ICEを改革または再編する必要があると回答した。

モルトン氏の発言は、移民問題に関する政治的対立が高まった時期に発表された。2024年の大統領選が迫る中、ICEの役割に関する議論はさらに激しくなり、両大政党の候補者がこの機関の将来についての立場を表明することが予想される。

ICEに関する議論が続く中、この機関は移民の執行、国境の安全、そして米国における不法入国者への扱いに関するより広範な議論の中心的存在である。