米国の人気メキシコ料理チェーン「チポタレ・メキシカン・グリル」は2日、メキシコ進出を発表し、メキシコシティ近郊のサンペドロ・ガルザ・ガルシア地区に初の店舗を開設する。同社は世界に4000店舗以上を展開しており、今回の進出を重要なマイルストーンと位置付ける。
地元住民の反応は賛否両論
ソーシャルメディアでは、米国企業の進出に歓迎の声と批判の声が混在している。ツイッター上では「メキシコの食文化を米国企業が売るとは、大胆な行動だ」という意見や、「次はパンダ・エクスプレスが中国本土に進出するのか?」という皮肉なコメントも見られた。
一方で、地元の中小飲食店への支援を訴える声も上がっている。インスタグラムの投稿には、「地元の店を支援すべきだ。チポタレの利益は米国に帰属するが、地元の家庭料理店に買い物をすれば、そのお金は地元税に還元され、地域経済に循環する」という意見も。
米国企業のメキシコ進出の歴史的課題
過去には、米国企業がメキシコ市場で成功を収められなかった例が数多くある。たとえば、タコベルは2010年にメキシコ国内のすべての店舗を閉鎖した。2007年にモンテレーに初店舗を開設した際、メキシカン・タコとはかけ離れた「トースターフライドポテト」をメニューに掲げていた。
地元の事務職員マーコ・フラゴソ氏は、当時、アソシエイテッド・プレス(AP)に対し、「あれはタコではない。トースタが折りたたまれただけで、見た目も悪い」と述べていた。
哲学者でジャーナリストのカルロス・モンシヴァイス氏は、タコベルの進出を「アーティックに氷を運ぶようなもの」と表現した。米国企業の進出はメキシコに限らず、他の国でも困難を伴うことがある。ドミノ・ピザは2022年にイタリア市場を撤退し、7年間で29店舗を閉鎖した。一方でスターバックスは、2018年にイタリアで初店舗を開設し、ある程度成功を収めている。
ブログ「クルニカス・デ・サン・ペドロ」を運営するインエス・カラスコ氏は、チポタレがテキサス・メキシカン料理を好む層に受け入れられる可能性はあるが、モンテレーでは米国企業が成功しにくいと指摘した。「米国企業はモンテレーで成功していない。一つ店舗を開いたからといって成功するわけではない。『ジャック・イン・ザ・ボックス』や他にも多くの企業がヌエボ・レオン州で失敗した。メキシコシティに進出できなかった企業もある」と語った。
チポタレの自信と展開計画
疑問の声にもかかわらず、チポタレの経営陣はメキシコ市場での成功に自信を示している。最高経営責任者(CEO)のスコット・ボートライト氏は声明で、「メキシコの食文化に対する深い敬意を持って進出する。チポタレの体験を地域の消費者に届けることを目指す」と述べた。
最高ビジネス開発責任者(CBDO)のネイト・ローソン氏は、初店舗が重要な実証実験となり、地域の消費者の嗜好を理解するための機会になると語った。
メキシコの飲食チェーン運営会社アルサと提携し、ヌエボ・レオン州での展開を進めるとともに、来年にはメキシコシティへの進出も計画している。アルサの最高経営責任者(CEO)のクリスチャン・ギリア氏は、地元メディア「エクパニオン」に対し、「少なくとも5〜6年前からチポタレの獲得を目指していた。我々が彼らを説得したのか、あるいは彼らが我々に納得させられたのかは分からないが、最終的にメキシコのフランチャイジー契約を獲得できたことは大変幸運だった」と述べた。
米国に加え、カナダ、英国、フランス、ドイツにも店舗を展開しているチポタレは、アジア市場への進出も計画しており、今年中に韓国で、来年初頭にシンガポールで店舗を開設する予定だ。
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