マサチューセッツ総合病院などの研究チームは、胸腺という免疫系の臓器が成人の健康に重要な役割を果たすことを明らかにした。2つの研究では、胸腺が健全な成人は寿命が長く、重篤な病気にかかりにくいことが分かった。

研究成果は『ネイチャー』誌に掲載され、数十年にわたる胸腺に関する仮説を覆すもの。胸腺は成人になっても重要であり、将来的には病気の予防やがん治療の戦略に役立つ可能性がある。

胸腺:忘れられた免疫系の一部

マサチューセッツ総合病院の人工知能医療プログラム(AIM)ディレクターで、論文の責任著者であるハゴ・アーツ氏は、「胸腺は長年見過ごされてきた。なぜ人々が異なるスピードで老化するのか、なぜがん治療が一部の患者で失敗するのかを説明する鍵かもしれない」と語った。「私たちの研究は、胸腺の健康状態に注目する必要性を示し、老化に伴う免疫系の保護方法を理解する新たな道を切り拓く可能性がある」。

胸腺は胸部に位置し、感染症や病気から体を守るT細胞を訓練する役割を果たす。

長寿やがん治療への影響

研究では、胸腺が健全な人ほど心疾患やがん、死亡のリスクが大幅に低いことが分かった。この発見は、特に免疫療法を受けているがん患者の予防や治療戦略に役立つ可能性がある。研究チームは、胸腺の健康状態を測定し、改善する方法を探している。

長寿研究の広がる興味

胸腺への注目は新しいが、長寿研究は他の生物からもヒントを得ている。例えば、ボウヘッド・ホエールは200年以上生きることがあり、科学者たちはその寿命延長に寄与する可能性のあるタンパク質を調査している。こうした研究は、細胞の耐性や老化のメカニズムを解明し、人間の寿命を延ばす助けになる。

マサチューセッツ総合病院の研究チームは、人工知能を用いて何万人もの成人のCTスキャンを分析。胸腺が健全な人ほど寿命が長く、心疾患やがん、死亡のリスクが大幅に低いことが分かった。この発見は、胸腺を子供の頃に活動的でなくなる臓器ではなく、成人の健康と病気への抵抗に重要な役割を果たす器官として理解するうえで転換点となる。