エジプト政府は、中東情勢の悪化とホルムズ海峡の輸送停止に伴うエネルギー危機に対応するため、今月から1か月間、商店、レストラン、カフェを現地時間の午後9時(協調世界時午後7時)までに閉店させることを義務付けた。この措置は、国際的な原油・LNG輸送の主要経路であるホルムズ海峡で輸送がほぼ停止し、エネルギー価格が急騰している状況に対応するための緊急対策。

エネルギー危機に即応する措置

政府の「異例の措置」には、街路灯や道路沿いの広告を暗くするほか、4月に多くの従業員が1週間に1日、在宅勤務を実施するよう求めることも含まれる。これらの措置は、エネルギー消費を抑制し、国際情勢に伴う燃料輸入の不安定化を緩和することを目的としている。

エジプトのムスタファ・マドゥーリ首相は、国内のガソリン代が1月から3月にかけて2倍以上に増加し、3月には25億ドルに達したと述べた。この急激な増加は、戦争が世界の原油価格に与えた影響によるものと説明した。政府は、すでに燃料価格や公共交通機関の運賃を引き上げ、この危機の経済的影響を抑えるための対策を講じている。

観光業がエジプト経済の約10%を占めているため、ホテルや観光施設はエネルギー節約措置の対象外とされている。しかし、カイロのマリオットやコスモポリタンなどの複数のホテルは、電力不足の可能性に備えて、バックアップ発電機を導入し、新しい規制にもかかわらず、客向けのレストランを営業し続けるなど、自主的な対策を取っている。

日常生活と経済への影響

商店や飲食店の臨時閉店は、日常生活や消費者支出に影響を与えると予想されている。多くの従業員は1週間に1日、在宅勤務を実施するが、医療や教育、製造業などの重要な分野の従業員は対象外となる。この措置は、非必需なエネルギー使用を削減し、経済の安定化を目指す政府の姿勢を示している。

エジプトは燃料輸入に強く依存しているため、供給の急激な変動に特に脆弱である。世界の約20%の石油・ガス供給が通るホルムズ海峡では、イランが輸送船の攻撃を脅したことで、国際的な船舶の航行がほぼ停止している。これにより、世界の原油価格が急騰し、食品や医薬品などの必需品の価格に影響が及ぶ懸念が高まっている。

米国のドナルド・トランプ大統領は、同盟国が船の護衛に協力しないことを批判。海峡を通る船の航行は戦闘開始以来一部は再開しているが、多くの船はイラン、中国、インドなどと関係があるため、状況はさらに複雑化している。

今後の対応と国際的な合意

エジプト政府は、Reutersによると、エネルギーを多く使う国家プロジェクトの進行を遅らせたり、政府車両の燃料補給をほぼ3分の1削減したりするなど、追加の措置を発表した。これらの措置は、戦争の経済的影響を公共財政に与えることを抑えるための幅広い戦略を示している。

タイは最近、イランと協議し、タンカーの安全な通過を確保する合意に至った。これは国際的な輸送動向に変化が生じる可能性を示唆しているが、こうした合意は、世界的なエネルギー市場に影響を与える根本的な問題を即座に解決するものではない。

状況が進展する中、エジプト政府はエネルギー危機への持続可能な解決策の模索を迫られている。商店や飲食店の早閉まりという現状の措置は、エネルギー需要の削減に焦点を当てながら、燃料供給源の多様化や輸入依存度の低下を目指す長期的な戦略を探る必要がある。

これらの措置は、世界的な対応の一環であり、他国もこの戦争の経済的・エネルギー的影響に直面している。現時点では、エジプトの臨時政策は、短期的な変動へのバッファを提供することを目指している。