銀価格は太陽光発電や電気自動車(EV)向け需要の高まりで木曜日に1オンス32ドルを突破したが、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ姿勢や米ドル高の影響で上昇幅は限定された。業界アナリストによると、今年の世界の再生可能エネルギー設備拡充は2億オンスの銀を消費する見込みだ。

銀はインフレヘッジとしての役割と工業用素材としての二面性を持つため、価格の変動が激しい。一方、金は安定して2650ドル前後で取引されている。米国と欧州の中央銀行は利下げを示唆せず、ドルインデックスは106.50に上昇した。FRBは7月の消費者物価指数(CPI)が前年比3.2%上昇していることを指摘した。

金と銀の価格比が80:1に達し、一部の投資家は銀が過小評価されていると指摘している。歴史的に見ると、この比が80を上回る時期は、景気回復期に銀が金を上回る傾向がある。金属取引会社キットコの報告書では、「景気拡張の懸念が強い時は銀が金を下回るが、工業用途は価格の下限を保つ」と述べている。

工業用途が銀価格に与える影響は大きい。銀の年間消費量12億オンスのうち、太陽光パネル製造は12%を占める。EV向けはさらに8%を占め、パナソニックなどのバッテリーメーカーは生産量を拡大している。中国の非鉄金属工業協会のデータによると、6月までに太陽光パネル向け銀ペーストの注文量は前年比15%増加した。

一方で、空売り派はリスクを指摘している。米ドル高により、海外の70%の銀需要は価格が高騰している。ドルインデックスが過去1か月で5%上昇した際、コメックス先物市場の銀価格は4%下落した。米国の製造業景気指数(PMI)が7月に47.8と前月比で低下したことも、投資家の見通しを曇らせる要因となった。

ソーシャルメディアでは「銀のサプライズ(squeeze)」が再燃している。2021年の個人投資家による空売り攻撃を思い出させる現象だ。RedditのWallStreetSilverなどでは、過去1週間で投稿数が倍増した。一方、コメックス先物のオープン・インタレストは18万枚で横這い。CFTCのデータによると、大口投資家は1万枚の長期ポジションを増加させたが、鉱業会社などのヘッジ企業は8千枚の空売りを増やした。

技術的指標も注目されている。サポートラインは50日移動平均線の30.50ドル、抵抗ラインは6月高値の33.80ドル。33.80ドルを突破すれば36ドルを目指すと予想される一方、30ドルを下回れば28ドルまで下落する可能性がある。投資家は金曜日の非農業部門雇用統計に注目し、18万5千人の雇用増が予想されている。

現物買いはドルコスト平均法を採用する傾向にある。ロンドンの1つのディーラーは「31ドル下回る場面で買いを重ねるべきだ」とアドバイスしている。米国造幣局のデータによると、7月の銀エイジル(Silver Eagle)販売量は180万オンスで、過去3番目の高記録を更新した。

地政学的緊張も銀価格に影響を与えている。ロシアとペルーの鉱山で生産される銀は世界全体の20%を占め、供給が不安定化している。ペルーでは、MMGのラス・バンバス鉱山の操業停止を招いた抗議活動の影響で、今年の生産量は前年比10%減少している。

買い派は年内に利下げが実施されると予測し、FRBの金利予測では9月に利下げが実施される確率は75%とされている。その場合、実質利回りが低下し、銀のような利回りゼロの資産への圧力が緩和される可能性がある。一方、売り派はインフレが再燃すれば政策の遅れが懸念されるとして警告している。

取引所とオンラインフォーラムでは、今後の銀価格の行方が議論されている。デイトレーダーにとっては、週に3%の日内変動が魅力的だ。長期投資家は構造的な変化に注目し、国際エネルギー機関(IEA)は2030年までに太陽光発電容量が1500ギガワットに倍増する予測を示しており、銀の需要は継続すると予測している。

リスク管理は依然として重要だ。レバレッジは価格変動を拡大し、ロンドンの1人のトレーダーは木曜日の急騰後にマージン取引で20%の損失を出した。専門家は、重要なサポートラインを下回った場合のストップロスと、資産の2%未満に保つポジションサイズの重要性を強調している。