国連人権高等弁務官に再任されたヴォルカー・トルク氏(オーストリア出身の弁護士)は、193か国からなる国連総会で144票を獲得し、再任が決まった。反対票は10票、棄権は13票だった。アル・ジャジーラとロサンゼルス・デイリーニュースが報じた。

トルク氏の経歴と国連での役割

トルク氏は1999年に国連に参加し、マレーシア、コソボ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コンゴ民主共和国などで国連難民高等弁務官事務所の職務を務めた。その後、国連事務総長アントニオ・グテレス氏の下で戦略調整担当副秘书长を務め、両者には密接な関係があるとアル・ジャジーラは報じている。

批判と論争

トルク氏の再任は、彼の政府に対する批判的な発言が原因で論争を巻き起こした。ガザでのイスラエルの行動については「ジェノサイド戦争」と呼び、ロシアのウクライナ侵攻については「無意味で国連憲章および国際法全体への公然とした挑戦」と非難した。

これらの発言により、米国、ロシア、イスラエルとは対立している。米国とイスラエルは、トルク氏がイスラエルのガザ政策やウイグル少数民族に対する中国の取り扱いについての批判に懸念を示した。

ロサンゼルス・デイリーニュースによると、米国副大使のジェフ・バートス氏は、トルク氏の再任は総会が「機能不全」であることを示すもので、投票は「最後の瞬間に議題に載せられ、意義ある審議を回避した」と警告した。

手続き上の懸念と政治的緊張

トルク氏の再任は透明性に欠けるとして批判された。グテレス氏は公的な議論なしに非公開の協議の後で推薦を発表した。これにより国連の民主的プロセスに対する懸念が高まった。

アル・ジャジーラによると、1993年にこの職が設置されて以来、前任者の中で2期満了した人物はいない。

反対意見を無視して再任されたことは、国連の政治的状況の複雑さを反映している。人権委員長は加盟国が人権侵害を行ったとされる場合に公開的に批判することが求められている。

トルク氏の任期が続く限り、米国、イスラエル、ロシアなどの強力な加盟国との緊張を乗り越える必要がある。