ベルリン——ベルリン国際映画祭(ベルリナーレ)のディレクター、トリシア・タッテル氏は、2月後半に開かれた授賞式で行われたプロパレスティンの発言を巡る議論の結果、新たな条件の下で職を続けることをドイツメディアが報じた。新設の「行動規範」には「反ユダヤ主義の禁止」が含まれており、これに伴う政治的圧力と世論の注目が高まっている。
政治的発言に起因する議論
タッテル氏は2月21日に開かれたベルリナーレの授賞式で、数人の映画監督が舞台でプロパレスティンの発言をしたことに批判されている。シリア出身のパレスチナ人監督アブダッラー・アル=カティブ氏は、自身の受賞作『シエジの記録』の受賞スピーチで、ドイツ政府がイスラエルのガザ地区におけるジェノサイドの「共犯者」であると批判した。これに対し、ドイツの環境大臣カールステン・シュナイダー氏は式典から退席した。
タッテル氏は、2月15日に『シエジの記録』の制作チームと撮影された写真にも批判が集まっている。写真では、彼女がパレスチナのカフティーヤを着用し、パレスチナ国旗を持っている映画監督たちの隣に立っている様子が写っている。こうした行動はドイツでは違法ではないが、新設の行動規範が表現の自由とどう整合するかは疑問が残る。
政治的圧力と文化的対立
ドイツの保守系メディア『ビルト』紙は、文化省がタッテル氏との分離協議の条件について合意できなかったと報じた。タッテル氏は5年契約の残り3年間を残しているが、文化省は彼女を現職のままにしつつ、諮問委員会の設置と、すべての参加者に署名を求める行動規範の導入を求める姿勢を示している。
『ビルト』紙によると、この行動規範には「反ユダヤ主義の禁止」が含まれており、すべての参加者に適用される。また、ドイツ文化省はタッテル氏に「ハリウッドのスターをベルリンに引き寄せること」を期待している。しかし、こうした政治的検閲の強化がその目標にどうつながるかは不明である。
ベルリナーレの改革を求める声は、ドイツの与党である保守派のCDU(クリスチャン・デモクラート・ユニオン)党内から主に上がっている。CDUの議員で文化・メディア委員会のメンバーであるエレン・デムト氏は、先週『ビルト』紙に対して、「ドイツ最大の映画祭は根本的な改革が必要だ」と述べ、最終的には「トリシア・タッテル氏のベルリナーレディレクター職の交代」に至らなければならないと語った。
一方、緑の党の議員で文化・メディア委員会の会長であるスヴェン・レーマン氏は、タッテル氏が職を続けることを支持した。レーマン氏は公式ウェブサイトで声明を出し、「先週の彼女に対する攻撃のキャンペーンの中で、こうした決定は彼女の驚くべき強さとベルリナーレと映画芸術への深いコミットメントを示している」と述べた。また、「連邦政府とベルリナーレは、今後のベルリナーレの将来に関する実現可能な計画を策定する必要がある。特に、極めて分極化した政治的発言の取り扱い方法についても」と述べた。「ベルリナーレは、自由な文化と交流の場であり、脅迫の場であってはならない」とも述べた。
国際的な映画界からの支持
タッテル氏の解任を求める声に対して、スーエン・ベイカー、ティルダ・スウィントン、ヴィッキー・クリーペス、ウィム・ウェンダースなど数百人の俳優、監督、映画業界関係者が支持を表明した。火曜日には、カンヌ国際映画祭のティエリー・フロマージュ氏、サンダンス映画祭のユージン・ヘンリクス氏、トロント国際映画祭のケイモン・ベイリー氏を含む32人の国際的な映画祭の幹部が、タッテル氏がベルリナーレのディレクターとして継続することを支持するオープンレターを発表した。
タッテル氏とベルリナーレに関する議論は、文化機関における表現の自由と反ユダヤ主義の防止のバランスについてのより広範な議論を引き起こした。この映画祭の将来は、こうした複雑な問題を乗り越えながら、世界最大の映画祭の一つとしての地位を維持できるかどうかにかかっている。
新設の諮問委員会と行動規範は、2024年のベルリナーレ(2月15日から25日)の開催前には導入される予定である。ベルリナーレの運営機関であるベルリナーレ財団は、この変更について公式にコメントしていないが、この決定の政治的・文化的な影響はおそらく長期にわたるだろう。
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