イランが再びホルムズ海峡の封鎖を脅迫し、イスラエルがレバノンで軍事行動を展開していることから、米・イランの外交が複雑化していると専門家らは警告している。トランプ政権が2025年10月にまとめた覚書(MOU)で緊張緩和を目指したが、進展は停滞している。ドロップサイトニュースの共同創設者ジェレミー・スカヒル氏は、交渉が「非常に、非常にわずか」の可能性で包括的な合意に発展すると語った。
履行の失敗が信頼を損なう
スカヒル氏は、トランプ政権が仲介したガザ停戦協定の履行失敗をイランの懐疑の理由として挙げた。「ホワイトハウスがイスラエルに最低限の合意を遵守させるさえできていないのだから、イランの指導者も交渉の進展に懐疑的になるのは当然だ」とスカヒル氏はスティーブ・クレモンズ氏の番組で語った。既存の合意の履行ができないことから、米国の平和実現能力に対する信頼が失われている。
元米国大使のマヌエル・マクロン氏も同様の見解を示し、トランプ氏のアプローチを批判した。「大統領は『交渉の芸術』という本を書くことに夢中だが、今や学校に通わされたようなものだ」とマクロン氏は、「学校に通わされた」という表現で米国の外交失敗を指摘した。マクロン氏は、現状を「誤解の覚書(MOM)」と表現し、MOUは混乱を生むよりも明確さを欠いていると指摘した。
ホルムズ海峡を戦略的武器に
ホルムズ海峡は世界の原油輸送において重要な水路であり、イランにとっては戦略的ツールとなっている。2025年10月20日、イラン革命防衛隊(IRGC)は、レバノンのヒズボラ(イランと関係がある)へのイスラエルの攻撃への対応として海峡の封鎖を発表した。米中央軍は海峡が依然として開かれていると明言したが、この発表は交渉の場での駆け引きの一環と見られている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、イランは新たな「ペルシャ湾海峡管理局」を設置し、船が48時間前に登録するよう求めている。この動きには60日間の通行料免除が含まれており、イランが海峡の将来の管理権を主張する意図を示している。「これは単なる封鎖の脅迫ではなく、今後の交渉で有利に働くための広範な試みだ」とWSJは報じている。
ブルームバーグ・ニュースは、EOSリスクグループのシニアアドバイザーであるマーティン・ケリー氏の見解を引用し、こうした封鎖の脅迫が継続する可能性が高いと予測した。「次の数日ないし数週間が中心となるだろう」とケリー氏は語り、イランが海峡を駆け引きの手段として用いて、レバノンでの停戦を実現しようとしていると指摘した。
レバノンが火種に
米政府関係者やメディアは、レバノンがMOUにとって重要な試金石であると強調している。この覚書には、レバノンを含むすべての戦線での軍事行動の即時停止が盛り込まれている。しかし、イスラエルもヒズボラもこの協定に署名していないため、履行が困難になっている。ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、レバノンの紛争は現在、広範な紛争終結の主な障害の一つとなっている。
イランは、核交渉に進む前に米国がMOUに盛り込まれた軍事停戦の履行を実施するよう求めている。このアプローチにより、交渉の成功に不確実性が生じている。「レバノンでの現在の対峙状態は、合意の持続性を試している」とNYTは指摘した。米国とイランは現在、スイスで技術的な交渉を進めているが、進展は不透明である。
米民主党の大統領候補として注目されているマヌエル・マクロン氏は、この状況を「私が目撃した国家安保の混沌の最悪の事例」と呼んだ。トランプ氏の危機対応を批判し、MOUが複雑な地域紛争を解決するための構造を欠いていると指摘した。
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