亡命した北朝鮮外交官の呂亨燮氏は、著書『金正恩の秘書室』で、金正恩氏が20代で跡継ぎになったのは、白頭山血筋を重視したためだと指摘している。しかし、金正恩氏の母方の系譜をみると、別の側面が見えてくる。
大阪での出生
金正恩氏の母・高英姬氏は、1952年に日本の大阪で生まれた。両親は、現在の韓国南西部に位置する済州島出身だった。高氏の家族は、日本が朝鮮半島を植民地とした1910~1945年に渡来した在日朝鮮人だった。高氏が10歳頃になると、家族は北朝鮮に移住した。
「浄化者」の烙印
高氏の家族は、1959年から1984年にかけて北朝鮮に移住した約9万3000人の朝鮮人の中の一人だった。この移住計画は、医療や教育、就職を無料で提供するという約束をしていた。当初、南から持ち込まれた現金や洋服、家電製品を持っていた北朝鮮移住者は、羨望の対象だった。しかし、彼らは「浄化者(浄化されていない者)」と呼ばれるようになった。これは、外国の危険な思想に汚染されたと見なされる人々を指す言葉だ。北朝鮮社会は階層がはっきりしており、一部の分析家はこれを身分制度と比較している。
金一族の聖なる山
白頭山は金一族の正当性にとって不可欠な存在だ。北朝鮮の建国者・金日成氏は、日本軍と戦う際、この山を隠れ家に使ったとされる。その息子・金正日氏は、この聖なる斜面で生まれたとされているが、実際にはロシアで生まれた可能性が高い。以来、この山は金一族の正当性を強化する手段として使われてきた。一部の分析家によれば、この血統への重視によって、金正恩氏は実績が乏しくても権力を維持できる。
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