フランスが次の大統領を選ぶまでに1年を切った現在、極右候補との一騎打ちを防ぐ人物が誰になるかが注目されている。現時点では、マクロン大統領下で首相を務めたエドゥアール・フィリップ氏が、極右候補のマリーン・ルペン氏や副代表のジョルダン・バルデラ氏に次回5月の決選投票で勝利する唯一の人物として浮上している。
フィリップ氏の戦略的立場
フィリップ氏は、小さな中道派政党「地平線(Horizons)」の代表を務め、極左候補のジャン=ルック・メレンション氏が決選投票に進むことを防ぐ立場にある。これはフランスの企業や欧州のパートナーにとって、極左と極右候補の対決が生じる「悪夢のシナリオ」とされている。フィリップ氏の支持者は、彼がフランスの中道右派の自然な候補として台頭することで、勝利への道が開けると見ている。
彼らは、リナサンス(Renaissance)所属のガブリエル・アタル氏や、共和党(Les Républicains)のブルーノ・レアトゥー氏など、同じ政治的立場の他の候補者が年内にフィリップ氏のリードを承認し、外交的に引くことを期待している。フランスの大統領選挙の第一回投票では、複数の候補者が同じ支持層を争うと、票が割れ、決選投票に進む者がいないという事態が生じる可能性がある。
今後の課題と不確実性
現在のリードを維持しながらも、フィリップ氏はキャンペーンを慎重に進めている。最近のランスでの会合で、3人のキャンペーンディレクターを発表し、ガリシャンス主義のスローガン「自由フランス(France Libre)」を採用した。経済政策では右寄りで、年金受給年齢の引き上げや、バランス予算を確保する法律の導入を支持している。これらは、来年選出された場合、早期に国民投票の対象になる可能性のあるテーマである。
6月には、全国の1000軒の住居に「アパートメントミーティング」と名付けた大規模な広告キャンペーンを展開する予定だ。候補者としての初めての集会は7月5日にパリで開かれる。『ル・モンド』によると、フィリップ氏は大統領選の枠組みが、自身と極右政党「国民同盟(RN)」との対決として描かれるようになることを願っている。
しかし、未解決の課題も多い。中道右派のライバル候補者が引くことを保証するものではなく、仮に引いたとしても、キャンペーンを継続することで分裂を生じさせ、実際の敵に利用される可能性がある。極左側からの挑戦も懸念されている。社会党とその連合は候補者を誰にするか、またどのように選ぶかで分かれており、4人から5人の候補者が立候補する可能性がある。
ポピュリズムの台頭と5月への道のり
フィリップ氏が直面する最大の課題は、極右の台頭である。反エリート主義、経済的不安定、公共サービスの低下が、急進的変革を求める候補者の台頭に好条件を作り出している。フィリップ氏は、旧体制の象徴であり、マクロン政権下で首相を務めた人物として、批判者にとって簡単な攻撃対象である。かつてル・アーヴル市長としての行動に関する汚職疑惑も、キャンペーンに影響を与える可能性がある。フィリップ氏のチームは、利害相反の疑いが虚偽であると主張している。
7月7日、フィリップ氏のパリでの集会の2日後、国民同盟の欧州連合資金に関する裁判の上訴審判決が下される。その結果によって、マリーン・ルペン氏が来年の選挙に出馬資格を失うかどうかが決まる。しかし、調査では、ルペン氏が出馬できるかどうかに関係なく、メディアに強い影響力を持つ副代表のバルデラ氏が支持率を保っていることが示されている。フィリップ氏は、バルデラ氏の出馬を望んでおり、30歳の若さと経験不足が弱点になると考えている。一方、ルペン氏は熟練した選挙戦士であり、支持者との強い結びつきを持っている。
極右政党「国民同盟(RN)」は、移民の制限を求める政策を掲げており、家族の移民労働者への追加入国を停止し、フランスで生まれた人でも国籍を取得できないようにする措置を提案している。また、年金受給年齢を62歳に引き下げることも目指している。極左側では、フランス不束(LFI)所属のジャン=ルック・メレンション氏が立候補を表明し、フランスの億万長者が支配するメディア帝国を解体すると公約している。高移民の郊外地域や、大学卒で社会的孤立を感じている若者層に強い支持基盤を持つ。
2022年には、メレンション氏がマクロン氏との決選投票にあと一歩のところまで迫った。彼は、「極右と対決するのが運命」と語っている。「他の候補者が消えれば、私と彼女の対決になるだろう」と。しかし、極右との「極端対決」において、すべての世論調査が示すように、勝者になるのはメレンション氏ではなく、フィリップ氏のような中道候補である。
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