ファストファッション大手セインは、香港証券取引所への上場でほぼ270億ドルの評価額を目指している。BBCとザ・ガーディアンが報じた。同社は株価を47.60~49.50香港ドルの範囲で提示しており、最終価格は8月31日に発表され、9月1日に取引を開始する予定だ。この評価額は2022年のプライベート資金調達時の1000億ドルから大幅に下がっており、売上高の成長が鈍化し、コストが上昇していることを反映している。
過去の上場計画の課題
セインが香港での上場を決めた背景には、米国とロンドンでの上場計画が規制上の課題や運営に対する監査で頓挫したことがある。2021~2022年にかけて、同社は本社をシンガポールに移す戦略的転換を図り、アナリストはこれは中国企業に対する世界的な監査を回避する狙いだったと分析している。
ウォールストリートの投資大手であるゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモーガンがIPOを支援する。ナンヤン理工大学の風呂・ク教授(経済学)は、香港が中国本土企業の引き合いを増やし、再び最大級のIPO市場の地位を回復したと指摘した。また、ロンドンでの上場計画が規制の監査によって頓挫した経緯を踏まえ、香港での評価額はロンドンより高くなる可能性があると予測した。
市場状況と財務実績
セインの上場は、厳しい経済環境下で行われる。7月、同社は前年同期の純利益3億9500万ドルから、9900万ドルの四半期赤字を発表した。この変化は、ドナルド・トランプ米大統領が中国からの小包に対する関税免除(デ・ミニス免除)を廃止したことに起因する。その結果、売上は減速しており、長期的な成長戦略に対する疑問が噴出している。
セインは、ますます競争が激化するグローバル市場に直面している。昨年末までに欧州のユーザー数は平均月次で1億5600万人に達し、アリエクスプレスやアマゾンと並んで欧州最大級のECプラットフォームの一角を担っている。デジタル分野での優位性にもかかわらず、同社は最近、パリのBHV百貨店に初の実店舗を開設するという大胆な動きに出た。このイベントには数百人の客が訪れ、抗議活動に伴う警察の出動もあった。
戦略的動きと今後の計画
IPOで調達した資金は、セインの技術的能力の強化と国際展開の支援に充てる予定だ。中国の低コスト繊維製造や先進的なEC物流を活かす一方で、米中貿易緊張が一時的に停滞しているものの、今後の不確実性は継続している。また、政治的緊張の中で米国上場企業のデリストリスクが高まっていることから、中国企業は米国上場に対する慎重さを強めている。
セインのIPOは、ファストファッション業界に対する投資家信頼や、市場変化への適応能力を試す重要なテストとなる。この上場は、財務的な後退を経た後のグローバルプレゼンスの強化と、再び勢いをつけるための重要な節目となる。
コメント
まだコメントはありません
最初にコメントしましょう