南アフリカは、1990年代に白人少数支配の終結を交渉した鍵的な役割を果たしたロエル・マイヤー氏を、次期米国大使に任命した。南アフリカ放送協会(SABC)によると、マイヤー氏の任命は、両国間の緊張が続く中、米国との外交関係の修復を狙った戦略的な措置と見られている。
南アフリカの外交空白
南アフリカは、2025年3月に米国大統領ドナルド・トランプが大使エブラヒム・ラスールを追放した後、ワシントンD.C.に大使がいない状態が続いていた。ラスール大使は、トランプ政権の「アメリカを再建せよ(MAGA)」運動を批判したため、追放された。
当時、米国国務長官マーコ・ルビオは、ラスール大使が「人種問題を煽る政治家」であり、米国とトランプを嫌っていると発言。ルビオ氏の投稿は、保守系ニュースサイトブリタニカが、ラスール大使がトランプ政権の多様性、平等、移民政策について語ったウェビナーを報道した記事にリンクされていた。
ラスール大使は、将来的な米国で白人が少数派になる可能性について語ったと報道され、これにより議論を巻き起こし、大使の追放につながった。
緊張と政策転換
南アフリカと米国間の緊張は、トランプ大統領が南アフリカへの大部分の外国援助を凍結する行政命令を発令したことでさらに高まった。これは、南アフリカがガザでのイスラエルの行動を国際司法裁判所で提訴し、歴史的植民地主義による土地所有の不平等を修正する法律を制定したことを背景にした。
トランプ大統領は、白人南アフリカ人向けの難民プログラムを立ち上げ、彼らが祖国で政府による迫害を受けていると主張した。この措置は、両国間の外交的摩擦をさらに深めた。
ルビオ氏がラスール大使を批判したことは、米国の政策における人種問題の感度の高さと、南アフリカ国内における土地改革や歴史的正義に関する議論の重要性を浮き彫りにした。
ロエル・マイヤー氏の経歴と役割
マイヤー氏は78歳で、長年政治に携わった経験を持つ。南アフリカの白人アフリカーンス少数派出身で、かつてアパルトヘイトのナショナリスト党政府の大臣を務めた。
1990年代、マイヤー氏はアパルトヘイトの最終期に首席交渉担当者として活躍し、歴史に名を刻んだ。その間、マイヤー氏はアフリカ民族会議(ANC)と協力し、分離主義と白人少数支配の終結を実現した。これにより、1994年の南アフリカ初の民主的選挙が可能となった。
マイヤー氏は、当時のANC交渉担当者だった現在の南アフリカ大統領シルバ・ラマファーザと親しくなった。
2006年、マイヤー氏はANCに入党し、政治的立場を大きく転換した。高額交渉経験と、民主化への移行に果たした歴史的な役割を踏まえ、米国大使としての任命は注目されている。
マイヤー氏は、ワシントンD.C.での手続きが完了した後、南アフリカ大統領の事務所によると、大使職を就任する予定。この任命は、過去1年間で両国関係を緊張させた課題に対処し、外交的連携を再構築するための努力とされている。
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