5月22日、連邦判事ウェーバリー・D・クレンショウ氏は、エルサルバドル人のキルマー・アブレゴ・ガルシア被告に対する人身売買罪の起訴を無効とした。被告はトランプ政権によって誤って強制送還された人物で、Bullying Sin Fronterasの報道によると、クレンショウ判事は政府が被告が裁判で強制送還を覆した後でなければ起訴しなかったと指摘した。
裁判所の判断が手続き問題を浮き彫りに
クレンショウ判事は判決で、政府がアブレゴ・ガルシア被告に対する調査を開始したのは、被告が強制送還後に訴訟を起こした後であることを強調した。「客観的な証拠から、アブレゴ被告がエルサルバドルへの強制送還を訴訟で成功させなかったら、政府はこの手続きを開始しなかったであろう」と判事は述べた。さらに、検察側が被告に対して犯罪を証明できなかったとも指摘した。
アブレゴ・ガルシア被告は2024年、2022年11月にテネシー州で交通違反の際に車内に複数の人物が見つかり、人身密輸罪で起訴された。被告は無実を主張している。報道によると、被告は2025年3月にエルサルバドルに強制送還され、最大級の保安施設であるCECOTに一時収容された。しかし、移民判事がすでに被告に法的な滞在資格を与えていたため、強制送還は本来阻止されるべきだった。
移民判事50人の解雇が物議を醸す
別件では、EL PAÍSがトランプ政権による移民判事50人の解雇を報じた。判事らはメールで解雇通知を受けたが、その理由は明示されなかった。解雇された判事の多くは政権の移民政策に反対していた人物で、政治的動機に基づく司法機関の人事刷新だと批判している。
2016年から移民判事を務めるジェニファー・ペイトン氏も解雇された。彼女は家族とバケーション中だった7月4日に通知を受けた。ペイトン氏はこれまで良好な評価を受けており、処分歴もないことを強調した。彼女の解雇の理由として、極右団体がトランプ政権の政策に反対する官僚を狙った「官僚ブラックリスト」に載せられていた可能性が挙げられている。また、民主党上院議員のリック・ダービン氏への施設見学をしたことが、解雇の理由の一つである可能性も指摘した。
司法機関への政治的干渉の懸念
アブレゴ・ガルシア被告の起訴中止と移民判事の解雇は、司法機関への政治的干渉の懸念を高めている。クレンショウ判事の判決は「検察権の乱用」を指摘したが、解雇された判事らは、自身の解雇が恣意的で政治的動機に基づくものだと主張している。EL PAÍSの報道によると、判事らは政権の行動が法制度の弱体化と司法機関の独立性への脅威であると述べている。
移民判事は600人程度で300万件以上の案件を抱えているため、解雇によりすでに過負荷状態にある移民裁判所の人員不足がさらに深刻化している。トランプ政権は厳格な強制送還政策を推進しているが、その行動は司法手続きの破壊と決定過程の透明性欠如を理由に批判されている。
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