アップルのティム・クックCEOは、人工知能(AI)開発によるメモリーチップ価格の上昇で、価格を引き上げざるを得ない状況になったと明らかにした。BBCによると、クック氏は状況が「持続不可能(unsustainable)」になったと述べ、価格上昇は最終的に消費者に転嫁されるだろうと語った。値上げの時期や対象製品については明言しなかった。今秋に発売予定の「iPhone 18」が値上げの対象になる可能性がある。

AI需要と供給チェーンの圧力

スマートフォンなどのスマートデバイスに不可欠なメモリーチップの価格は、AI開発の急増によりここ数か月で上昇している。クック氏はウォールストリート・ジャーナルに対して、「需要が高まる時期に供給が減っている。メモリーチップのメーカーが大幅な価格上昇を転嫁している」と述べ、消費者製品向けに「メモリーチップの価格と供給が適正な水準に戻る必要がある」と強調した。

トレンドフォースによると、グローバルのファウンドリーマーケット(外部委託製造市場)は2026年に3280億ドルを超える見込み。今年だけで2188億ドルの売上になると予測され、前年比で24.8%の急増となる。この急成長は、グーグルやアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、メタなどの大手テック企業が自社製AIチップを開発していることによるAIコンピューティング需要の高まりを反映している。OpenAIやGroqといったAI専業企業も、カスタムシリコン戦略で市場に参入している。

業界全体の圧力

アップルだけではなく、他社も同様の圧力を受けており、BBCとの独占インタビューで、アップルやNVIDIA、AMDの最新チップを製造する台湾半導体製造(TSMC)は、インフレによるコスト上昇で価格を引き上げる可能性を否定しなかった。今年初頭にはサムスンもメモリーチップの供給不足により電子機器価格が上昇するとの警告を発していた。

BBCによると、イランの戦争が半導体製造に必要なヘリウムの世界供給を混乱させている。これはコンピュータチップのコストをさらに押し上げ、供給チェーンの負担を増している。昨年9月に発売されたiPhone 17は人気を博し、アップルのデバイス販売は2026年の最初の3か月で前年同期比17%増加している。

経済と生産性への影響

ハードウェア価格が上昇する中、米国の消費者や企業は古くなったデバイスを使い続ける傾向が強まっている。TechSpotの調査によると、この傾向は経済的な負担を生み、生産性を低下させている。Diversifiedの調査では、24%の従業員が古くなった技術によって問題が発生し、残業を強いられていると答え、88%が老朽化した機器がイノベーションを妨げていると答えた。

供給チェーンの混乱と関税の変化により、過去数年間、ハードウェア価格は予測不能な状態が続いてきた。AIブームにより企業が最新技術を急速に購入し、特にメモリの需要が高まっている。RAM価格の上昇はメーカーが価格を引き上げたり、特定製品の販売を中止する動機になる可能性がある。TechSpotによると、不足は2027年まで続く見込み。

DiversifiedのCEO、ジェイソン・コーンウェイズ氏は、大企業が新技術をテストするのに時間がかかりすぎており、検証が終わる頃にはさらに優れた技術が登場している可能性があると指摘した。Thomas InstrumentationのCEO、キャサリン・カムミングス氏は、修理性を向上させ、モジュール化した技術を導入することで、高コストかつ時間がかかるフルシステムのアップグレードを強制することなく、問題に対処できると提案した。